大まかな流れ
❶ドイツ語の動詞はとりあえず不定形(=辞書形)を覚えれば良い。
❷規則的な人称変化の語尾を暗記する。
❸語尾が例外的な規則変化をする規則を覚える。
❹一部の単語は、不定形+活用形を丸暗記しないといけない(不規則活用動詞)。
❺規則的に語幹が不規則変化をするパターンを覚える。
上記の流れを終えた方は、ドイツ語の動詞をバッチリ使えます。
以下で1つずつ説明します。
赤文字が暗記すべき箇所、🟢で書かれている箇所が覚えるべき箇所です。
❶ドイツ語の動詞はとりあえず不定形(=辞書形)を覚えれば良い
不定形とは
🟢英語の原型の立ち位置に近い。辞書に載っている形。
🟢ほとんどの不定形の語尾は -en -n -eln -ernで終わる。
ドイツ語では人称変化以外にも、現在分詞、過去分詞、直説法過去・・・など活用した形が豊富である。したがって、英語の原形に値するような形を決めているだけである。動詞の格変化や活用形は、基本的に不定詞がベースとなっている。
🟡英語の原型の立ち位置に似ているものの、英語のように、一人称単数の時に原型のまま使えるわけではないので注意。
🟡不定形と不定詞(不定句)は別物なので注意。
❷規則的な人称変化の語尾を暗記する。
人称変化とは
🟢主語によって、動詞の語尾が変化すること。
例えば、
「私は行く」と言いたい時は、語幹gehに活用語尾-eをつけてgeheでIch gehe.
「君たちは行く」と言いたい時は、語幹gehに活用語尾-tをつけてgehtでIhr geht. である。
🟡『人称変化』とドイツ語特有の『格変化』は全く別物なので注意。動詞には格変化はない。
🟡Sieは話しかけている相手を表す。相手が1人の時でも、複数の時でも使う。ちなみにSieとsieは活用語尾が常に全く同じ。
🟡例外的に語尾だけではなく語幹も変化する『不規則動詞』もある。
🟡Sieとsieのように、ドイツ語では語頭の大文字小文字で意味が異なる語があるため注意。
❸語尾が例外的な規則変化をする場合を覚える。
概要
🟢語幹末尾が-t・-d・-chn・-ffn・-tm・-dmの動詞は、du・er(・sie・es)・ihrが主語の時、語幹と語尾の間に「e」を挟む。
🟢語幹語尾が-ß,・-s・-tz・-zの動詞は、duが主語の時の従来の活用語尾-stの「s」が抜けて、活用語尾が-tになる。
🟢「tun(する・行う)」および語幹末尾が-el・-er(不定詞の語尾が-enではなく-nの動詞)の動詞の場合、主語がwir・sie/Sie(従来の活用語尾が-enであった主語)の時の活用語尾は、-enではなく-nになる。
🟡語幹末尾の綴りで判別している。発音によって判別しているわけではない。
解説
🟢語幹末尾が-t・-d・-chn・-ffn・-tm・-dmの動詞は、du・er(・sie・es)・ihrが主語の時、語幹と語尾の間に「e」を挟む。
実際に口に出して発音してみるとわかるが、語幹末尾が-t・-d・-chn・-ffn・-tm・-dmの動詞は上記のように「e」を挟んでいないと発音しにくい。(綴りも違和感が出てくる。)そのために「e」を挟む。
例えば、
「君は働く」と言いたい時は、語幹arbeitに活用語尾-stをつけるのみではなく、語幹arbeitと語尾-stの間に「e」を挟み、arbeitestでDu arbeitest.
「彼は働く/君たちは働く」と言いたい時は、語幹arbeitに活用語尾-tをつけるのみではなく、語幹arbeitと語尾-tの間に「e」を挟み、arbeitetでEr arbeitet. / Ihr arbeitet.
🟢語幹語尾が-ß,・-s・-tz・-zの動詞は、duが主語の時の従来の活用語尾-stの「s」が抜けて、活用語尾が-tになる。
🟡lesenに関しては『5.規則的に語幹が不規則変化をするパターンを覚える。』の語幹の変化があるため注意。Du liest.になる。このように、語幹や語尾に関する別の規則にも該当する場合はその規則が適用される。
🟢「tun(する・行う)」および語幹末尾が-el・-er(不定詞の語尾が-enではなく-nの動詞)の動詞の場合、主語がwir・sie/Sie(従来の活用語尾が-enであった主語)の時の活用語尾は、-enではなく-nになる。
🟡語幹が-el・-erの動詞は、ほとんどの場合ichの活用語尾-eの時に、語幹末尾側の子音(l・r)の前のeが脱落する。
例として、以下のようになる。
Ich handele. → e-l-e の音を避け → Ich handle.
Ich ändere. → e-r-e の音を避け → Ich ändre.
❹一部の単語は、不定形+活用形を丸暗記しないといけない(不規則活用動詞)
🟢基本的に完全に不規則な動詞は以下の4つしかない。
それぞれの単語を見ていきます。
一部規則的に変化している箇所もあり、全てを丸暗記する必要はないですが、赤文字の箇所は覚えておきましょう。
❺規則的に語幹が不規則変化をするパターンを覚える。
概要
🟢主に「gehen(行く)」「stehen(立っている)」以外の強変化(語幹が変化する)の動詞は、単数2・3人称で語幹の「a」が「ä」に、語幹の「e」が「i」もしくは「ie」に変化する。例としては以下のような形である。
🟡強変化の対義語に弱変化がある。弱変化は語幹の母音がどの人称でも常に一定である。
🟡強変化か弱変化かを活用形以外で完全に見分ける方法はない。しかし、
外来語に多い -ieren で終わる動詞は、ほぼ100%弱変化動詞であり、
be-, ge-, er-, ver-, zer-, emp-, ent- などの非分離前つづりで始まる動詞は、強変化動詞であることが多い。
また、ドイツ語と英語は同じゲルマン語派に属するため、英語で不規則変化をする動詞は、ドイツ語でも強変化の動詞であることが多い。
強変化の動詞の数は約200単語であり、せいぜい50単語ほどを完全に暗記していれば、それ以外を弱変化とみなしておくと良い。どちらかわからない単語が出てきた場合は、弱変化と考え解き進めることがよい。
強変化の動詞一覧
🟡緑色部分は分離動詞の前綴りを表すが今は気にしなくて良い。
注意書き
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個人利用(個人・少数の友人内・家庭内での勉強のための利用)はウェルカムです。
終わりに
お疲れ様でした。よく最後まで学習できたと思います。今回は直説法現在の人称変化のみを解説しましたが、ドイツ語の動詞にはさまざまな活用がありますので、ぜひ問題集でも買って楽しんでください。
では。